良い失敗

初心者ながらも、動き始めた株価に飛び乗り、運良く短期間で利益を出すことに
成功した投資家と、ある銘柄を丹念に調べたうえ、慎重に指値を入れたものの
結局買うことができなかった投資家がいるとする。もちろん、前者は利益を
手にし、後者は利益を手にすることができなかったことになる。単純に考えれば、
前者が“成功”で、後者が“失敗”したと受け取られがち。

しかし、前者はたまたま儲けを手にできたのだが、それは運が良かっただけであり、
何となく相場任せで、または情報任せで、儲かったところで、このやり方を改め
なければ、いずれ高値掴みのコレクションを増やすだけとなる。儲けでも、損でも
自分の売り時をイメージできなければ、このやり方では一般的なパチンコ愛好者
や競馬愛好者同様、たまに儲けることもあるだろうが、マーケット環境が
とてもいい場合を除いて、年間トータルでプラスとなることは稀。たまたま儲けた、
そのレベルを上げていかないとコンスタントに儲けた、というレベルにはなり得ない。

後者の場合は、そもそも損したわけではないので“失敗”とは言えないだろう。
儲け損ねた、もっと儲けることができたのに、という意味で成功ではなかったという
だけ。十分に下調べをし（納得し）たものの、結局買うことができなかったが、
その後の株価の上昇がしっかりと見れたこういう場合、銘柄選択は間違って
いなかったということが自信となるし、タイミングや買う値段以外は◎だと思う。
また、株価の動きに惑わされて株価を追いかけるようなことがなかった点も、
投資家としては必要な要素。買えなければ儲からないだろうという意見もありそうだが、
買えば儲かるというものでもないわけだし、相場はその時ばかり、その時限りのもの
でもない。

こういった意味で、前者の場合を“悪い成功”、後者の場合を“良い失敗”と見ることが
できる。

以前にも週末バージョンで書いたことがあったかと思うのだが、情報は世の中に
溢れている。株式投資において、ましてや超短期の投資において、会社の中身を
全て把握してトレードするということは皆無に近く、名前だけ聞いても、何をしている
会社かすら分からないことも多々あることだろう。そこでは、どうするか？
投資が超短期なら、その勢いを見極め、飛び乗り、飛び降りる、これ鉄則。
会社の業績、業務内容、財務などではなく、もっと砕いて言えば、何をしている
どんな会社でもいいということ。「勢いよく上がるから乗る」それだけのこと。この
投資をオススメしているわけでは全然ないのだが、超短期のデイトレをしている
人の中でこの会社の将来性は？なんて聞いてくる人がいるからお伝えしておく。

ここで重要なのは、勢いがないもの、もしくはなくなったものについての対処法。
どうするべきか、それは、問答無用で降りるだけ。乗った、買った理由が勢いが
あるから、であるとすれば、なくなったら降りるだけのこと。それだけのとても
シンプルなものが勢いに乗る、という行為が導き出す行動論。

こんなことを個人投資家に教えてどうするのか？　ハイ、初心者は真似しないで
欲しいと思っている。よく掲示板でも玄人さんのみで、とか、素人さんは見ている
だけにしてください、と書いていることがあるのはそれが理由。判断しきれない
スピードや思惑で株価が動くような銘柄についてはこういう指摘をさせてもらって
いる。非常に危険な株式投資の一部に関して今私は話をしているのだから。
これを克服するには、どうするべきか、方法は１つ。

シミュレーションをしてください。

全ての投資機会に参加しないと、損をしている気分になるあなた、間違っている。
全ての勝てる投資機会に勝てないことが、損をしていることに繋がるのだから。
参加したものは薄利でも勝つ、失敗したなと思ったときは潔く手仕舞う。これが
最も重要なこと。投資資金に余裕のないとき、銘柄やタイミングに自信が持てない時、
シミュレーションしてみてください。

例えば・・・・
こんな話が噂でもしくは材料としてあるらしい。最近の株価はこの程度の底値圏
での推移で今はリバウンド待ちの局面かもしれない。（これはいろいろな銘柄を
ある期間見ていないと、感覚的に掴むのは難しいと思うが。）下値は固そうで、
売り板がどんどん食べられ始めている。今〇〇を自分で買って〇％もしくは、
〇万円取ってみる、できれば今日中にもしくは〇日間で。果たして、どう動くかな

みたいなもの。途中で、下で買い増し、上で買い増し、予定より早い逃げ、損切り、
目標株価変更などなど戦略変更をしながら、勝ち方を覚えてみてください。成功
したとき、失敗したとき、なんでそうなったのか、何が間違っていたのか、どうすれば
よかったのか、いろいろ研究・反省してみてください。人のせいにして何も学ばない
なんて論外。それではいつまでたっても勝てないままですから。全ては自分と
マーケットの1対1の戦いなのだから。

そこから何か学ぶのであれば、全ての失敗は、成功につながるのだから。どうせ
失敗するのなら、どうか良い失敗をしてください。

最後にもう一度
全ての投資機会に参加しないと、損をしている気分になるあなた、間違っている。
全ての勝てる投資機会に勝てないことが、損をしていることに繋がるのだから。
勝ち癖をつけてください。勝てる銘柄、相性のいい銘柄を見つけとことん、稼いで
見てください。金曜日の日記に書いてあるような銘柄の動きに飛び乗ってみて
ください。そして検証してみてください。自分の売り位置と株価の位置とを。